作品紹介ページ: 緑旋風 -ViridWhirl-

シルフィ

フィーチャリング、わたし ♡

ルキュー

なんだかシルフィ、幸せそうだねぇ?

イグニ

そりゃそうなのだ。何といってもようやく、ウチらしい曲が出来上がったのだ。

リオナ

そうよね~。カルミアちゃんも加入して6人になった私たちの曲ができt

シルフィ

そうよね!? 私たちみんなでがんばって創り上げた曲だものね!!
ああ、なんて素晴らしい!!

ルキュー

急に大きな声出して、どしたのシルフィ?

シルフィ

き、気にしないで…

カルミア

シル姉、新作ができて嬉しいんだよ~♪

イグニ

お。そういうカルカルは今作でついにデビューなのだ☆ おめでとうなのだ♪

カルミア

えへへぇ~。イグ姉、ありがと~♡
みんなに見てもらえて、幸せだねぇ~♪

ルキュー

ついにこの快感を知ってしまったね? カルミアちゃん♡

リオナ

これもファンの皆さんが応援してくださるおかげよね。本当にありがたい話だし、いい経験させてもらってるわね。

シルフィ

うぐ、浮かれポンチじゃダメね…反省…。

イグニ

ま、今作の出来がいいのは、イグニちゃんがカンペキな演奏してたおかげなのだ ☆

シルフィ

こやつ、言い切った !?

ルキュー

「自分が引っ張る」って本気で思って演奏してくれるから、みんなそれに乗っかることで前に進んでいけるんだよ。

なんなら全員がそう思ってくれてたほうが良いんだが?

シルフィ

わ、わたしも主旋律、バッチリ決めたわよ!

ネーヴェ

ねーべも…いっぱいれんしゅーした…

リオナ

じゃ、今回もみんなの頑張りを振り返っていきましょうね♪

企画会議

2026年4月末

シルフィ

よーし! Webサイトも完成したことだし、新作つくるわよー!

カルミア

わくわくだねぇ~ ♪

ルキュー

折角だから、カルミアちゃんも含めて 「わたしたちっぽい」曲をつくりたいな

リオナ

わたしたちらしい要素って何かしら?
ちょっと書出していきましょう。

イグニ

やっぱり 「風」 なのだ!

シルフィ

テーマカラーの 「緑」 も外せないわね

~ しばらくして ~

※企画段階で作っていたガチ資料です

シルフィ

なかなかいいんじゃないかしら?

リオナ

草原を駆け抜ける翠緑の旋風
…わたしたちのイメージとも合致してるんじゃないかしら?

ルキュー

朝も昼も夜も、私たちの音が風に乗ってどこまでも…ステキだねぇ♪

それにしても…草原と花畑って…ちょっと安直な気が…

シルフィ

ま、そこは表現の工夫次第じゃないかしら?

カルミア

花畑が広がっていくのは見ごたえありそうだねぇ~

ネーヴェ

風を感じたい…!

風って直接目に見えないから、例えば葉っぱや蝶を舞わせることで間接的に表現しようかしら

イグニ

曲の起伏に合わせて色を変えたり、舞わせ方を変えるのだ!

ふむ…ストーリー設計に書き込んでおくか。
これならある程度、見応えある MV になりそうだね。

シルフィ

曲名「緑旋風」…シンプルでいいんじゃないかしら

リオナ

日本語で曲名を付けた場合は別途、海外向けの名称も考える必要があるわね?

イグニ

英語へ直訳するのも悪くはないのだ。でもやっぱオリジナリティというか、ひねりが欲しいところなのだ。

ルキュー

緑 + 旋風 だから、それぞれいい感じの英単語を類義語辞典から探してみよう。

シルフィ

緑…うーん…グリーン、エメラルド、ミント、グラス…

リオナ

…ビリジアン (Viridian) ?

ネーヴェ

旋風…ワールウィンド (Whirlwind)…?

イグニ

ビリジアン…ワ―ルウィンド (Viridian Whirlwind)…

ルキュー

ビリジア…ワール (Viridia Whirl)

シルフィ

ヴィリド…ワール…(Virid Whirl)

カルミア

ヴィリドワール (ViridWhirl) !

イグニ

おぉ、なんだかいい感じの響きな単語ができたのだ☆

ネーヴェ

おしゃれ…!

リオナ

ググラビリティも悪くないわね…!

採用だね!

シルフィ

よーし、じゃあガンガン作っていくわよー!

作曲 & 編曲

シルフィ

さて、今回からカルミアが加わったけど、何弾いてもらおうかしら?

カルミア

なんでもござれだよぉ~♡

リオナ

役割を整理してみましょ

ルキュー

わたし、主にコード弾きを担当してるから、その上の音域で自由に弾いてもらったらいいんじゃない?

イグニ

バランスもいい感じなのだ☆

カルミア

つまり…ルゥ姉の片腕になるんだね~?

ネーヴェ

むぅ…ねーべもルゥ姉の片腕に…

リオナ

両手に華…というか両手が妹…

シルフィ

いいなぁ…

カルミア

主旋律とハモったり~♪ イグ姉とユニゾンしたり~♪ スキマを埋めるようにフレーズ差し込んだり~♪ (楽譜カキカキ…)

ルキュー

ノリノリで書き込んでるね ♪

イグニ

関係が特に深い2人の関係には、灰色の点線を入れておいたのだ☆

リオナ

わたしはベースライン担当だし、ルゥのコード弾きは特によく聴いとかなきゃね

ネーヴェ

主旋律のシル姉と…カルカルの音も聴いて…イグ姉は要注意…

シルフィ

イグニが変な音出しませんように…

イグニ

傾聴というより、警戒されてる気がするのだ…

~ そして現在へ ~

シルフィ

そういえばそんな話をしながら作ってたわね

イグニ

かれこれ5か月間、この曲の作曲・編曲・レコーディング・アニメーション制作に取り組んでたのだ。今となっては大昔なのだ。

ルキュー

というか制作の途中のお話、すっっっごい端折ったね?

リオナ

ここからはいつも通り、MV 見ながら振り返るのが楽しいわよ、きっと

というわけで、特に印象的なシーンを抜粋していこうかね

MVの振り返り: 0:31-

シルフィ

さあ、みんな! わたしに続くのよ!

イグニ

シルフィの投げかけに対してイグニちゃん・リオ姉・ネーヴェが応えるフレーズなのだ

リオナ

こういう掛け合いがあってこそのアンサンブルよね

カルミア

わたしはルゥ姉・リオ姉と一緒にリズムを刻むよぉ~♪

ルキュー

あ!両手使ってる!

シルフィ

ひょっとして、教え込んでたの?

ルキュー

うん! 一緒に練習した時に、ね ♪

ルキュー

Happy Birthday to You のアレンジ演奏した時があったけど、両手弾きはそれ以来だね

カルミア

ふっふっふ…さっそく使ってみたよぉ

リオナ

頼もしいわねぇ ♪

カルミア

ちなみに、Bメロを過ぎてサビに入ったら、片手に切り替わるよぉ

シルフィ

そういう弾き方もできるのね

ルキュー

研究すればもっといろいろなこと出来そうだね♪

MVの振り返り: 1:08-

イグニ

さて、この曲のメインテーマとなるフレーズなのだ!

シルフィ

私がメロディを吹くんだけど、実はネーヴェとカルミアにも、同じフレーズ吹いてもらってるのよ。
いわゆるユニゾンってやつ。

ルキュー

ビシっと揃ってると気持ちいいわね!

同じフレーズを複数人で吹いてるから、その分厚みや広がりが出るね。
…そっか、無理矢理にダブラーかけたり、わざわざ複数テイクを録ったりせず、別々の妖精に吹かせちゃえばそれだけで十分厚みが出せるのか。

リオナ

複数の妖精が吹くってのは、複数テイク録るうちにカウントしてないのね…

だって君ら、みーんな吹き方違うじゃん? 同じフレーズを吹いていても、別のパートと認識してるよ。

シルフィ

確かに、わたしは割とオールラウンドに吹くけど…イグニはメカニカルなフレーズをバリバリ吹きたがるし、ネーヴェは高音域で遊ぶのが好きだし、リオ姉はキッチリ真面目って感じで吹くし…

…毎回思うけど、よく曲としてまとまるね、そんなバラバラで

ネーヴェ

みんな…なかよし…

イグニ

シルフィたちの裏で、イグニちゃんは裏メロ吹いてるのだ☆

ネーヴェ

…イグ姉だけは勝手してる

イグニ

そうしたほうが楽しい曲になるのだ

シルフィ

実際、メロディが落ち着く隙をイグニが動いて埋めてるからね。例えばこういうトコとか。

曲作る上でいっぱい入れていきたいよね。隙あらば遊ぶ、みたいな。

MVの振り返り: 1:51-

リオナ

ここで曲の雰囲気が変わるわね ♪

シルフィ

E♭ メジャーから B♭メジャーへの転調ね。いわゆる属調への転調よ。

イグニ

ラの音に♭ついてたのが、つかなくなるノリに変わったと思えばいいのだ

ルキュー

B♭が新しい主音となる雰囲気を出すこと、そしてこれまで E♭ の調で使われなかった A♮ の音をいち早く鳴らすことで、転調したよ!ってのを伝えてるんだね

なるほど、転調とはこうやってやるといいのね

シルフィ

ついに転調の技を手に入れたのね…! 作曲の幅が広がるわねぇ ♪

今後の曲作りでも、ガンガン試していきたいね

リオナ

合わせて草原も黄金色に輝いているわね ♪

シルフィ

世界の広がりとか、気持ちの盛り上がりに合わせて、煌めきが増していくわね!

ルキュー

急に楽譜が出てきた!?

リオナ

よく見たら、シルフィ・ネーヴェちゃんが、今まさに吹いている本物の譜面なのね

シルフィ

主、たまにはオシャレなエフェクト入れるじゃないの♪

たまには、ってなんだよ。
…このフレーズ、ネーヴェがすっごく頑張ってたの、覚えてない?

イグニ

夜が苦手なのに、眠い目こすりながら夜な夜な吹き込んでたのだ☆

ネーヴェ

…がんばった

※2026/07/15 Xのポストより

シルフィ

わたし、ちょっと吹いてみたけど、あれは本当にエゲツナイわね…

ルキュー

シルフィがそこまで苦戦するフレーズだったんだ

シルフィ

BPM190 の3連符で分散和音を攻略してるのよ?

イグニ

なかなか骨の折れるフレーズなのだ

ちびっ子が頑張ってる姿は、やっぱり注目してもらいたいからね

ネーヴェ

ほめて…♡

リオナ

個人的にはココの # (シャープ)が気になるのよね

イグニ

…むむ? そういえば、1回目にはこのファの #、ついてなかったのだ。 2回目には、なぜかついてるのだ。

ルキュー

わたしのコード譜を見ると、理屈がよくわかるよ。

リオナ

両方とも Gm (ソ・シ♭・レ) に解決させようとしてるけど…その直前のコードに注目すると、1回目に使っていた V の和音の代わりに、2回目はソの5度上(レ) のドミナントセブンスを使ってるのね?

ルキュー

うん。 I の和音以外に解決するとき、解決先のコード (今回は Gm) の5度上のドミナントセブンスを差し込むことができるんだけど、この差し込んだコードを 「セカンダリドミナント」 って言うみたいだよ。

イグニ

なんだか急にややこしい話になってきたのだ

シルフィ

ちょっと珍しいオシャレなコードが差し込まれてるって思えばいいわよ

カルミア

たしかになんとなく、2回目はドラマチックになってる気がするねぇ?

ルキュー

ネーヴェちゃんがアルペジオをダイナミックに吹いていることと、セカンダリドミナントで深みのある響きを出していること…つまり、演奏表現と和声の両面から、1回目と比べて音楽的なエネルギーを高めている…ってところかな?

イグニ

2回目の方がぶわーってなる感じなのだ☆

シルフィ

アンタは演奏者なんだから、もう少しちゃんと理屈の説明なり、イメージの言語化なりしなさいよ…

まあ、いいんじゃないの? 実際、この部分作ってるとき 「あれ、こっちのコードの方が面白くね?」 って感覚で気づいて、いろいろ調べたらそういう技法だった…って辿り着き方だったし。

ルキュー

これからは狙ってこういう表現も差し込んでいきたいね ♪

カルミア

メモしとこ~っと。 「5度上からズドン」

シルフィ

すっごい感覚的!?

MVの振り返り: 2:31-

ネーヴェ

ゆうがた…

ルキュー

ちょっと休憩しよっか

イグニ

この時間帯って、1日が終わる寂しさがあるのだ

シルフィ

それでいて、ロマンチックな夜がはじまるワクワク感…♡

リオナ

…というこのシーン、どうやって演奏しようかしら?

ルキュー

ちょっとリズム感を変えてみようか

ルキュー

赤で囲んだ部分に注目してほしいんだけど、付点を入れたり、3連符+タイのリズムにして、ちょっと溜めを作ってみたけど、どうかな?

シルフィ

なかなかいいんじゃない? オシャレになってるわよ!

カルミア

でーれっ…でれーれれっ♪ …「伸ばす音符」の溜めと「短い音符」の開放感の繰り返し…きもちいいねぇ♪

イグニ

こうなってくると、赤で囲んでる部分以外もリズムを崩したくなるのだ。特に八分音符で楽譜に書き込まれてても、実際にはアタマに付点をつけたっぽく吹いたりしてるのだ。

ネーヴェ

気持ちよく吹ければ…それでおっけー…

MVの振り返り: 2:54-

シルフィ

ここは聴かせどころよ…!

イグニ

ここはシルフィの顔を立ててやるために、致し方なく大人しく吹いといてやるのだ☆

シルフィ

すっごい不服そう !?

イグニ

半分冗談なのだ。 ここはロマンチックでステキな夜の始まりなのだ。その雰囲気は大事にしたいのだ。

シルフィ

半分は本気で目立ちたがってるってことよね…

リオナ

一回目はシルフィの音をたっぷり聞いてもらうとして、後半はクライマックスに向けて盛り上げていきたいわね。 …私は全音符でシンプルにベース吹くから、みんな乗っかってきなさいな

シルフィ

最初は私がメロディ吹くよ

イグニ

おっ、じゃ次はイグニちゃん入るのだ

ネーヴェ

ねーべもはいる…!

シルフィ

しれっと1人で2人分吹いてる…

ネーヴェ

EWI のホールド機能使えば…同時に2フレーズ吹ける…

イグニ

器用なことしてるのだ

カルミア

じゃ、わたし最後に登場するね~

ルキュー

ウィンドシンセ隊のわちゃわちゃを尻目に、悠々と登場! だね♪

イグニ

大物の風格? なのだ

シルフィ

さあ、いよいよ最後、クライマックスよ!

シルフィ

…って、およよ?

ぶわぁぁぁぁ…

ルキュー

さ、咲いたーーーー!!!

ネーヴェ

よーせいの…カタチ…!!!

イグニ

今回、主が頑張ってたところなのだ☆ …これ一体どうなってるのだ?

え? それ聞いちゃうの…? …長くなるよ?

あまりにも長く、苦しい内容なので、自重しました (by主)

あーここ開いちゃったかぁ… ディープな世界へようこそ…

シルフィ

デフォルトで閉じられるほど複雑なことしてるの?

この開花エフェクトは、次の4つの魔法 (という名の技術) で作られてます

STEP1
曲線を作り出す
STEP2
曲線を複数のセクションに分割する

STEP3
曲線を地形に沿うように変形する
STEP4
曲線に沿って花を咲かせる

シルフィ

たしかに、この4つの魔法を組み合わせればできそうだけど…?

STEP 1:曲線を作り出す

リオナ

曲線って…主が手書きしてるのではない?

直接的には僕、この曲線を書いていないんだよ

シルフィ

じゃあ、だれが描いたのよ

…数学とパソコンだよ

イグニ

うっ…嫌な予感がするから退散するのだ☆

あ…逃げちゃった…

えっとね、今回書きたい曲線は1周ぐるっと回ると元の位置に戻ってくる曲線だから、極座標表示による曲線を考えるよ。

2次元平面上の座標って、x座標とy座標で表されるのはよく見かけるけど、それ以外にも、原点からの距離 (r) とx軸正から反時計回りを正とした偏角 (θ) で表す形式もあって。これを極座標表示って呼んだりするよ。

xy座標に変換することもできるよ。

(x,y)=(rcosθ,rsinθ)(x, y) = (r \cos \theta, r \sin \theta)

次に、r に対する θ の陽関数で曲線を表すことにする。

r=r(θ) (0θ2π)r = r(\theta) (0 \le \theta \le 2 \pi)

字面はともかく、「角度θで見たときに、原点からどれぐらいの距離で曲線と交わる?」っていうのを式で表してると思えばよくて。右辺はθが混ざった数式だと考えてね。

例えばこういう式を考えてみよう。

r=1 (0θ2π)r = 1 (0 \le \theta \le 2 \pi)

右辺にθが使われていないけど、一旦そこは置いておいて、例えば θ が45° (π/4)の時、原点からの距離が1ってことになるよね。というかむしろ、θの値に依らず、常に原点からの距離が1になるから、この式は実質的に「円」ということになるよね。

シルフィ

えーとつまり…「1周ぐるっと回る間に、原点からの距離 r を変えながら進め」ってこと?

まあ大体そういうこと。あとは、r(θ) という関数をどう作るか、という話だけど…

ここで、フーリエ級数を考えます。

r(θ)=ao2+n=1{ancos(nθ)+bncos(nθ)}r(\theta) = \frac{a_o}{2} + \sum_{n=1}^{\infty} \left\{ a_n \cos (n\theta) + b_n \cos (n\theta) \right\}

複雑な周期関数を、単純な周期関数 (ここでは正弦波・余弦波) の和で表現しよう、というモチベーションで、これを持ち込みました。

シルフィ

急にイカツイ数式が出てきた!

とりあえずここでは、「1周ぐるっと回って元に戻る曲線」 を周期2πの曲線と考え、周期関数である正弦波 (sin波)・余弦波 (cos波) をいい感じの比率で混ぜ合わせると、いろんな曲線を表すことができる(厳密には違うんだけど…)、という理解でいいよ。今回はこの理屈をベースに、sinとcos を数種類ブレンドすることで、妖精の曲線を描いてます。

シルフィ・イグニ・ネーヴェの妖精曲線は以下の数式で作りました。

r=0.7×{3.11.8cos(5θ)+2.0cos(8θ)+0.5cos(12θ)}r =0.7 \times \{3.1 – 1.8 \cos(5\theta) + 2.0 \cos(8\theta) + 0.5 \cos(12\theta)\}

0.7って係数がかかってるけど、分配法則で分配すればフーリエ級数の式になるよ

リオナ

じゃあ、わたしのお花畑はどんな式かしら?

実はリオナ・ルキュー・カルミアはギーリス(Gielis)曲線という、フーリエ級数の曲線とはまたちょっと別種の曲線を使ってます。極形式で表現する部分は共通してます。

r(θ)={|1acos(nθ4)|n2+|1bsin(nθ4)|n3}1n1 (0θ2π)r(\theta) = \left\{ \left| \frac{1}{a} \cos \left( \frac{n \theta}{4} \right) \right| ^{n_2} + \left| \frac{1}{b} \sin \left(\frac{n \theta}{4} \right) \right|^{n_3} \right\} ^{-\frac{1}{n_1}} (0 \le \theta \le 2\pi)

ただし今回は、θ の範囲をN倍に拡張して利用します。

r(θ)={|1acos(nθ4)|n2+|1bsin(nθ4)|n3}1n1 (0θ2Nπ)r(\theta) = \left\{ \left| \frac{1}{a} \cos \left( \frac{n \theta}{4} \right) \right| ^{n_2} + \left| \frac{1}{b} \sin \left(\frac{n \theta}{4} \right) \right|^{n_3} \right\} ^{-\frac{1}{n_1}} (0 \le \theta \le 2N\pi)

つまり、パラメータとして設定したいのは、次の7種類。

(n,a,b,n1,n2,n3,N)(n, a, b, n_1, n_2, n_3, N)

実際のパラメータはこちら。まずはリオナから。

(n,a,b,n1,n2,n3,N)=(2.25,0.62,1.35,0.30,1.46,1.54,9)(n, a, b, n_1, n_2, n_3, N)=\left( 2.25, 0.62, 1.35, 0.30, 1.46, 1.54, 9 \right)

ルキュー・カルミアはお揃いにしといたよ。

(n,a,b,n1,n2,n3)=(3.66,1.02,1.37,0.32,2.02,1.42,11)(n, a, b, n_1, n_2, n_3)=\left( 3.66, 1.02, 1.37, 0.32, 2.02, 1.42, 11 \right)

カルミア

ルゥ姉とおそろい~♪

シルフィ

にしても、ホントにあってるの? こんな複雑そうな式なのに。

オンラインのグラフ描画ツールでも確認したし、自前で Excel を使って曲線をプロットし、結果が一致することを確認しているよ。

シルフィ

ここまでやる…?

まあMV作るだけなら 「見た目が良ければヨシ!」 としてもいいんだけどね…。 でも折角、自分の好きな数値計算とか、計算幾何学 (ケイサンキカガク) といった分野に関係する話だったし、ちょっとこだわって作ってました。

STEP 2:曲線を複数のセクションに分割する

次に、曲線を複数のセクションに等分割します

シルフィ

ほほう?

さっきのリオナの曲線をもう一度見てみるとわかるんだけど、曲線が伸びる箇所が1か所だったよね。それを、複数個所から伸びていくようにすると、最終的に花を咲かせるときに複数個所から賑やかに咲いていく効果を得られるよ。例えばこんな感じ。

シルフィ

確かにこっちのほうが、華やかな魔法陣っぽく成長する印象になるわね ♪

STEP 3:曲線を地形に沿って変形する

こうして作った曲線ですが、このままだと凸凹した地形に貼り付けたときに浮いてしまいます。なので、この曲線を地面にピタっと吸い付かせるように変形させます。

具体的な実装方法は割愛するけど、方針としては、曲線を描いた面を小さなメッシュに分割し、各メッシュ頂点に対してフィッティング対象メッシュの最近接位置を計算し、その位置に向かって頂点位置を動かす…ってことをやってます。

って文字で言われてもわからないと思うので、実際に実装したのがこれです。

フィッティング対象の球に向かって、曲線の平面がピトっと吸い付く様子がわかるかと思います。やりたいのはこういう事。

シルフィ

MV では、球の部分が地面に置き換わる、と。

そういう事。

STEP 4:曲線に沿って花を咲かせる

最後に、生成した曲線に沿って花を咲かせていくよ。

与えられた曲線に沿って、開花位置を等間隔に配置します。この時、曲線の始点が0、終点が1となるよう正規化しておきます。下の模式図の最上段がその様子だよ。

ところで、これらの花が成長するアニメーションを t というパラメータ1つで制御したいなーって思うわけですよ。

シルフィ

t が 0 の時は何も咲いてない状態。 t を 0 から 1 に増やすにつれて、始点から順番に花が咲いていき、t が 1 の時に満開になる… という都合のいい仕組みを作りたいってことね。

その通り。 先程の図の中段で出した例はかなり単純で、それぞれの開花位置が t より小さい場合は開花(成長度:1.0)、そうでない場合は咲かせない (成長度:0.0) という実装例を示しているよ。…まあ、単純すぎて、tが通過した瞬間に突然花が出現するようなアニメーションになっちゃうんだけど。

リオナ

やっぱり徐々に大きくなってこその花よね?

そうだね。さっきの例だと、成長度のグラフ(ピンク色のグラフ)が t を境にいきなり成長度が 1.0 から 0.0 に変化したのがまずかった。この部分を、ある程度の幅を持たせて滑らかに 1.0 から 0.0 に変化させることにしよう。

これは補間の仕組みを使えば実現できるね。今回は3次エルミート補間を使い、1.0 から 0.0 に対して滑らかに繋がるようにしたよ。

シルフィ

成長幅もパラメータとして指定できるようにしたのね。これを小さくすると成長速度が速くなるし、逆に大きくするとゆーっくり成長するようになるのね。

うん、その理解であってるよ。

ちなみに、花の成長についても実はもう一歩改良してまして。 より花の成長っぽい表現にするために、水平面方向の成長と比べて、高さ方向の成長を先行させる処理を加えているよ。

シルフィ

高さ方向だけ、先行?

大概ぼくらがイメージする花ってさ、「まず茎がある程度伸びてから、花が開花する」 よね?

シルフィ

あたりまえじゃん。

MVの中で、今回は花モデルを拡大していくことで成長アニメーションを実現しているんだけど…パラメータ t から与えられる成長度をそのまま X, Y, Z 方向のスケールに適用してしまうと、成長というより「拡大」という印象が強く出てしまうんだよね。そこで、垂直方向だけ先行して大きくすることにしました。

成長度をそのままXYZスケールに適用する「単純スケーリング方式」と、実際にMVに採用した「垂直先行方式」を見比べてみよう。

シルフィ

たしかに、垂直先行方式の方が花の成長っぽくなってる気がするわね。単純スケーリング方式って、すっごく機械的に大きくしました! ザ・拡大! って印象。

リオナ

まあ、垂直先行方式も機械的と言えば機械的だけど…

その気になれば、もっとリアルな開花を追究することも理論上は可能だけど、MV の中ではこれを大量に配置して、遠くから撮影することになるので、正直これで十分だよ。あまり凝りすぎても、効果が感じられにくいし、書き出し時間が伸びちゃうし…。

リオナ

いつも、書き出し時間が長くて苦労してるわよね。 今回は品質と処理時間のいいバランスを取ったというところなのね。

実装方法は単純で、すっごく軽量だよ。成長度が与えられたときに垂直方向・水平方向をどれぐらいスケールさせるかという float カーブを適用することで実現しているよ。垂直方向の方がグラフが持ち上がっている分、水平方向の成長よりも先行して垂直方向のスケール値が大きくなるんだよ。

開花エフェクト完成!

STEP1~STEP4 の魔法をこの順でガショッとつなげると、MV に出てきたような開花エフェクトが実現できるよ。再掲しておくね。

シルフィ

よ、ようやくここまでたどり着いた…

いろいろ試行錯誤しながらこの仕組みを作ってました

シルフィ

そもそも、どうしてここまでたくさんの仕組みを作ってるの?

綺麗な曲線に沿って花を整然と咲かせるためには、人の手で1本1本の成長を打ってたら、永遠に終わらないでしょ?

リオナ

後になって 「やっぱりこっちの曲線の方がいいな」 ってなっても、修正量が膨大過ぎてやってられないわね。

この仕組みによって、STEP1 以外は6人の処理を共通化できたし、STEP1についてもパラメータをグリグリ動かすことで、規則的で美しい曲線をいろいろ生み出せるからね。 数値と仕組みさえちゃんと設定すれば、完全に再現することも可能。

シルフィ

そっか。曲線をぐにぐに手で曲げなくても、パラメータを変えるだけで最終的な開花アニメーションまで含めて整合性をとりながら実現できるのね。

まとめるとつまり、

うちの魔法は電卓から生まれるんだよ

シルフィ

…迷言でたわね

カルミア

ねぇねぇ~、難しい話ばっかりでつかれたよぉ~

リオナ

そろそろ本編に戻りましょうね ♪

とまあ、いろいろな魔法を組み合わせて開花エフェクトが出来ましたとさ

イグニ

お。 マニアックな話は終わったのだ?

シルフィ

このMVのアニメーションで、一番こだわって作っていた部分よね

カルミア

魔法の花畑、いいねぇ~♪

MVの振り返り: 3:17-

シルフィ

さあ、クライマックスよ! 元気に行きましょう!

イグニ

うぉぉぉ! 旋風を巻き起こすのだーー!!!

ネーヴェ

ちょうちょもいっぱい…!

リオナ

魔法の世界、妖精界の真骨頂ね! いつまでもこの景色を見ていたいわね~♡

シルフィ

ネーヴェ、2回目は好きに吹いていいわよ ♪

ネーヴェ

まかせて…♡

カルミア

おぉ~! ネーベの裏メロが、気持ちいいねぇ~!

緑旋風 ネーヴェ譜

シルフィ

あら? どこかで聞いたことがあるような、懐かしいフレーズが

リオナ

言われてみれば確かに…?

ネーヴェ

これ… Starlit Snowfall で、シル姉が吹いてたフレーズ…

Starlit Snowfall シルフィ譜

シルフィ

あ、ホントね!? モチーフがいっぱい散りばめられてるのね ♪

ネーヴェ

前作との…融合…

リオナ

わたしたちの音楽も花と一緒に成長しているのね ♪

シルフィ

そっかぁ…なんだかこういうのってステキよね

成長をかんじるねぇ

イグニ

花畑は遠く遠く、どこまでも広がっていくのだ

リオナ

わたしたちの演奏も、より広い世界に、より多くの人に届いたらいいわね ♪

おわりに

シルフィ

これまで積み重ねてきた技の全てと、わたしたちの演奏が広く届いてほしいという願いを込めて、この曲を作ったのよね

イグニ

願いに関しては本当にうちらの勝手な願いなのだ

でも、それが作品としてカタチになって、みんなが楽しんでくれるのであれば、その願いは悪いものではないんじゃない…かな…?

リオナ

それなら、これから先に作る作品についても、もっとクオリティを上げていきたいわね ♪

イグニ

その通りなのだ! 見てもらうからには、期待を越えるものを作り続けていかなきゃなのだ!

カルミア

さらに先のステージがまだまだありそうだねぇ~ ♪

シルフィ

こうして作品を振り返って、ようやくこのプロジェクトが完結するわね…

ルキュー

作ってるときは大変だったけど、こうしてみるとちょっと名残惜しいね

リオナ

ほらほら、まだ先のステージがあるってカルミアちゃんが言ってたじゃない。

ルキュー

そ、そうだったね。 次の作品に向けて、前向いて進んでいかなきゃ。

次の作品は、記念すべき 20作目だね。

ネーヴェ

集大成…?

イグニ

これぞ WinsRits ! って作品にしたいのだ! 3年半積み重ねてきたうちらにしか作れない、そんな作品にしたいのだ!

シルフィ

よぉし! さっそく企画会議やるわよー!!

ルキュー

次回作も楽しみにしててね!!

こうして妖精たちは、創作の森のさらなる奥へと進んでいくのだった…